2006年10月28日

マクロビオティックに五行説は必要か?E

「マクロビオティックに五行説は必要か?」というテーマで長々と書いてきましたが、そろそろまとめに入りたいと思います。

桜沢如一は、中国伝統の陰陽説や五行説の複雑化や曖昧さを問い直し、万物を計る尺度としての「陰陽」の概念を明確に示しなおしました。

それが「無双原理」というマクロビオティックの基本理念だったのです。

■無双原理とは?

無双原理とは、陰陽の特質を記述した「無双原理の12の定理」「無双原理図解」という二つの主柱で成り立っています。

桜沢先生はこのシンプルな陰陽の定理だけで、全ての事象を解き明かせると言っています。

【無双原理の12の定理】
1.宇宙は陰陽の秩序をもって展開す。
2.陰陽秩序は無限に、不断にいたるところに生起し、相関交渉盛衰す。
3.求心、圧縮、下降の性を有するものを陽といい、
  遠心、拡散、上昇の性を有するものを陰という。
  (故に、活動や熱は陽から、静かさや冷たさは陰から生まれる)
4.陽は陰を、陰は陽を相牽引す。
5.森羅万象は、あらゆる比例において陰陽両性を荷帯せる宇宙の本体の電子的
  微分子の複雑なる高次元の集合なり。
6.森羅万象は、単に種々なる程度の動的均衡を示す陰陽の集合なり。
7.絶対純粋なる陰または陽なる事物は存在せず、総じて相対性なり。
8.一物といえども中性なるものなし。必ず陰陽多寡あり。
9.森羅万象の相互の引力は、その対者間の陰陽差に比例す。
10.同名の性は相排斥す。同名の性の排斥力はその差に逆比例す。
11.陰極まりて陽生じ、陽極まりて陰生ず。
12.万物その内奥に陽を付帯し、外側に陰を付帯す。


無双原理図解とは、12の定理から導き出される簡易図です。
inyouzukai.jpg

『無双原理・易』(桜沢如一著 日本CI協会刊)より

図の中に五行説で使われる「五味」も記述されています。つまり、五行という観念もこの無双原理で洗い直しているということです。

マクロビオティックの基本原理とは実はこの「無双原理の12の定理」とそこから導き出される「無双原理図解」だけです。桜沢先生はその他の原理は何一つ提示していません。

※その他に「宇宙の秩序」という原理がありますが、これは扱う分野(次元)が違いますので、また後日その構造については説明します。

ですから、桜沢如一のオリジナルマクロビオティック(私はこれを古典落語ならぬ古典マクロと読んでいます)においては、「陰陽五行説」は歴史的な検証の対象にはなるが、原理としての必要性はないと私は考えています。

ただ、それは「古典マクロ」の世界でのお話…。

なぜ、現在のマクロビオティクで陰陽五行説が持ち出されるかと言うと、それはそれだけの魅力があるからだということです。

■陰陽という瞑想

さて、この無双原理…。
果たして、どれだけの人がこの原理のみを活用して、実生活に応用して行けるでしょうか?
前章でも書きましたが、無双原理の陰陽とは言わば「神の視点」=「悟りの視点」なわけです。この原理を頭では理解できても、実生活上で直感的に応用していくということは、まさに「神人一体」の境地といっても語弊がありません。

五色は人の目をして盲(もう)ならしむ。五音は人の耳をして聾(ろう)ならしむ。五味は人の口をして爽(たが)わしむ。
『老子 ―道徳経上編第12章』より

桜沢が影響を受けていると思われる老子は、「五色(ごしき)」「五音(ごおん)」「五味(ごみ)」がそれぞれに交じり合って、様々な色や音楽や料理ができあがり、それらが人々の欲望を刺激して生活をくるわせることになると言いました。

複雑さや混沌が生活をくるわせるのであれば、シンプルな原理を明確化してそれに従えばいい・・・。
私はそんな極端な桜沢先生が大好きなのですが、実際にマクロビオティックを一般の方々に普及したり、指導するには

「シンプルすぎて通じない!!って」

というのが引き継いだ方々の叫びだったのではないでしょうか?(笑)

瞑想が呼吸という呼気と吸気のバランスにあるとすれば、マクロビオティックは食事を中心に全ての生活の中で陰陽のバランスをとるという言わば「動的な瞑想」です。
いきなり、一般の人たちや海外の人たち、病気で苦しんでいる人たちに「神様の視点で瞑想しなさい」なんて言ったって通じる訳がないのです。

そこには、無双原理と複雑な現実的生活を繋ぐ中間点がどうしても必要になってくるのです。

<結局終わらなかった!次回こそ最終回>

【マクロビオティックに五行説は必要か?シリーズ】
@無双原理と陰陽説
A陰陽五行説とは?
B五行説の歴史と謎 
C古代世界と五惑星観
D陰陽説と五行説の観測点の違い
E古典マクロにおける五行説の必要性
Fまとめ























この記事へのコメント
こんばんは。

>複雑さや混沌が生活をくるわせるのであれば、シンプルな原理を明確化してそれに従えばいい・・・。

私は、ここまでそぎ落とされ、整理されたシンプルな原理が、法律の条文のように感じます。

条文と条文の行間を読む解釈の仕方が、無双原理の定理を理解しようとする時にも、似ているなぁと感じます。

取り扱っている内容は、法律とは対極の、とてつもなく大きな世界のことですが・・・。
桜沢先生の嫌いな法律なんかを例に出してしまったので、桜沢先生は、苦笑しておられるでしょうか?
Posted by マクロ美風 at 2006年11月01日 20:57
>結局終わらなかった。次回最終回。

anubisさん、本当にインスピレーションで記事書いているのですね。すごいなぁ。
でもちょっと可笑しかった(笑)。

陰陽のお話を通して、桜沢先生の人柄を垣間見るようです。最終回、楽しみにしてますね。
Posted by macrobi papa at 2006年11月04日 01:57
☆Macrobi 風&パパさん こんにちわ!

桜沢先生の本当の人柄や本音は私ももちろん知りません。
何しろ70年生まれなので(笑)

このシリーズは、単に五行説や桜沢先生を題材としたフィクション、
または史的冒険小説としてお読みください!

真実は皆さんの心の中にのみあります。なんてね♪
Posted by anubis 22 at 2006年11月04日 13:46
こんにちは〜

<結局終わらなかった!次回こそ最終回>
という文字につられて最終回になったかな?度々チェックしに参りまして
・・・そのおかげでEを熟読!! 笑
とてもシンプルだけど奥の深い世界がじわじわ染みてきています。さすがanubis22さん!

Posted by いいりん at 2006年11月08日 18:59
☆いいりんさん、コメントありがとう!

最終回は頭の中にあるのですが、書き起こす時間がなく、もう少しまっていてくださいっていっても別に劇的な落ちがあるわけではなのであまり期待しないで下さ〜い。
Posted by anubis 22 at 2006年11月09日 21:39
ご無沙汰しておりました・・・。
お元気で何よりです。

また遊びに来て、じっくーり拝見します。

やっぱり素敵ですねー!anubis 22さんて。
Posted by sanae at 2006年11月10日 00:59
☆sanaeさん、ご無沙汰です!

コメントありがとうございます。
sanaeさんもお元気そうですね。

素敵って「素的」の間違いじゃないでしょうか(笑)

「素的」=「シンプル」

確かにシンプルに生きたいと思ってま〜す♪
Posted by anubis 22 at 2006年11月12日 11:56
初めまして。マクロビを勉強していて、無双原理の課題が出たので、検索していたらここにたどり着きました。本は難解でお手上げだったんですが、ここでわかりやすい文章で書いてくださっていて参考になります。ありがとうございます。
Posted by まきこ at 2011年01月11日 20:00
 一般に金型機械加工してるところは、工具鋼の一種SKD11が難削材なので、これに切削条件を合わしている。しかし、こんなところに朗報があった。このまえ、日刊工業新聞社の「プレス技術」に紹介されていた、SLD-MAGIC(S-MAGIC)という材料、SKD11の4〜10倍被削性(工具費ならコストが約1/4〜1/10になる)がよいので、工場全体の生産性がこれに比例して向上する。また、これで作った金型は自己潤滑性が高く、使う方の生産性もアップする。使う方作るほう両方で、生産性が上がるという、奇跡の金属材料だ。
Posted by 全体最適 at 2013年04月04日 22:37
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