2006年10月22日

マクロビオティックに五行説は必要か?D

五芒星に象徴される「5」を基本とした五行説に対して、陰陽説はどう捉えれるでしょうか。これは、実は桜沢如一のマクロビオティック観に象徴されています。

■陰陽=▽△であらわす訳
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桜沢先生は陰陽を上の図のように三角形の上下「▽△」であらわしました。これは「陰」は地の中心からのエネルギー、「陽」は天の中心からのエネルギーを現すとともに、陰陽のエネルギーが調和した状態を次の図にあるような「六芒星」であらわそうとしたからです。
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陰陽二気が交じり合って、6点が現れます。ここから「2+6」で八卦が求められます。
つまり、易の原理と同じで「六芒星」は「太極図」と同等の意味が込められています。

易的な陰陽説=「六芒星」=「6」の原理
陰陽五行説=「五芒星」=「5」の原理

から成り立っているとすれば、この「6」と「5」の違いとはなんなんでしょうか?

■陰陽説と五行説の観測点の違い

この違いは簡単に言ってしまえは現象の観測点の違いを表しています。
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図の左、陰陽説はいわば人を超えた「神の視点」からの観察に対して、五行説は常に「人の視点」に観察点があるように思えます。

つまり、陰陽説は「六感」という「五感」を超えたインスピレーション(直感)的判断であるからこそ、易は後世になって「当るも八卦、当らぬも八卦」というように占術として発達してきたと考えられます。

一方五行説は「五感」という実感しやすい感覚を大切にした分析的判断であるため、五味、五臓、五穀など人の実感に根ざし、医学や政治術、戦争術、農耕術に利用されるようになってきました。

※ただ、桜沢先生は陰陽説を科学的観点から再評価し、「占術」としての陰陽説をかなり批判しています。しかし、その後ユングを起点としたシンクロニシティー理論やニューサイエンスの分野などから、「占術」を一つの直感科学として新たな心理科学の一分野として認められはじめたり、易とDNAの構造的酷似などで生物化学にも注目され始められていることを考えると、ちょっと桜沢先生の「占術」批判は時代遅れという感じもあるでしょう・・・。

■陰陽説と五行説のメリット・デメリット

易はいわば宇宙論です。むしろ哲学に近いといえます。理論自体はとてもシンプルでわかりやすく、永遠普遍の真理を感得するにはとても有効です。何しろ神様の視点なのですから…。

ところが、複雑で流動的な人間社会で、この陰陽説はあまりにも人間離れしていて実感が伴いません。毎日神様の視点で物を眺めて生きていくことはなかなか出来ません。

そこで、もっと人の感覚に根ざした真理を読むシステムが必要になります。そこで五行説が登場します。

五行説は人間社会、人と関わる自然界、人と宇宙の関わりなど複雑で流動的な現象を記述するのにとても便利なツールとして発展しました。

自然、五行説が中心にあまり実用的でない陰陽説が取り込まれることになります。

ところが、この五行説は人の視点を観察点としているため、時代の変化によってどんどん解釈も変わってきます。そして、その影響で本来永遠普遍であるはずの陰陽説という大前提が曖昧になってきます。

四千年以上の昔、「天」はハジメYinの最大、最高のシンボルと考えられ、「地」はその反対と考えれ、用いられたのです。「天」は無限の空間、ヒロガリですから、遠心性Yinを代表し、「地」は反対に、求心性Yangを代表したのです。その後になって、形而上学者たちが「天」(空)を、この全ての現象やモノの製造者というイミで、最高の神聖、天帝、最大不可抗の力、Yangの代表にしました。オマケニ、それで天、天帝、上帝などというコトバを、太陽と同義語にしてしまったのです。ここに形而上学と形而下学の用語の大混乱のハジマリがあります。
『東洋医学の哲学』(桜沢如一著 日本CI協会刊)より

つまり、桜沢如一は人間が観察点である五行的な視点に重きを置くあまり、本来永遠普遍であるはずの陰陽説までもが混乱していることを嘆いている訳です。

そこでは、桜沢先生は本来あるべき陰陽説を整理し、もう一度この「神様からの視点」から、現象世界を捉えるシステムを確立しようとしました。

それが「無双原理・易」だったわけです。

そして、実感が伴わないという欠点を補う為に「食べ物」というツールを最大限に利用しようとしたところが桜沢先生のセンスだったのでしょう。

<さて、次回は最終回!になるかなぁ?>

【マクロビオティックに五行説は必要か?シリーズ】
@無双原理と陰陽説
A陰陽五行説とは?
B五行説の歴史と謎 
C古代世界と五惑星観
D陰陽説と五行説の観測点の違い
E古典マクロにおける五行説の必要性
Fまとめ










2006年10月18日

ちょっとティータイム

小難しい記事がつづいてますのでちょっとティータイム・・・。

義理の両親の結婚記念日にオータムナッツタルトを久しぶりにつくりました。

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久しぶりにつくると一から材料集めないとならないので、ものすごい原価率(笑)オーガニックレストランの苦労がわかるなぁ・・・。

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さぁ、イギリスの田舎のおばちゃんになった気分で、ざっくりテキトーにいきましょう!今回は食べるのがお年寄りなので薄力粉と完全粉を大体2:1ぐらい、塩をひとつまみ入れてよくかき混ぜる。
オリーブオイルを加えながらよーく手で擦り合わせる。ぬるま湯を少しずつ加えながら捏ねないようにザックリと一つにまとめ、1時間ぐらい寝かす。

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さつま芋に軽く塩をし、私のお友達マスタークック君に放り込み、蒸す。主役のオーガニックに育ったアーモンド、カシューナッツ、くるみ、ピスタチオ君たち、値段もVIP級・・・。軽く手で揉んでおく。

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皮を剥いてマッシュしたさつま芋にアップルジュースとアーモンドペーストを加えフィリングの完成!
タルトをつくろうと思い立った次の日、全然違うルートから手作りのアーモンドペーストを貰う…。料理のコツは神様を味方に付けること(笑)

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タルト型に生地を置き、210度〜230度ぐらいで25分程度焼いて、レーズンを適量敷き詰め、フィリングを型に収める。

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最後にナッツを散らして、米飴をフォークで満遍なくかけてデキアガリ!

このタルトの作り方は5年前、マクロビを勉強していた時、友人のSちゃんから教わって以来、秋になると思い立ったようにつくるオータムタルト。分量もテキトー、アレンジもテキトー、自由に簡単に出来てみんなに喜ばれる幸せタルトなのでした。

2006年10月16日

マクロビオティックに五行説は必要か?C

ほぼ自己満足型の論文と化してしまってますが(笑)もう少しお付き合いください!

■古代世界と五惑星観

さて、五行説に使われるこの「5」という数字はどこから来るのでしょう?そのヒントとなるのは図形にあります。

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もう一度上の図を見てもらうと五行説は所謂星型である「五芒星」と深い関係があります。

なぜ「星」のことを「☆」とシンボライズされるのかは、古代の人たちにとって、星とは「木星・火星・土星・金星・水星」という五惑星を意味していたからです。

歴史的に確認されているもっとも古い五芒星の用法は、紀元前3000年頃のメソポタミアの書物の中に発見されているそうです。

またもう少し時代が下がったバビロニアでは図形の各側面に前後左右と上の各方向を割り当て、それぞれ木星・水星・火星・土星、そして上に地母神イシュタルの現れとされた金星を対応させたそうです。

※参考「ウィキペディア フリー百科事典」

西アジアで起こった五芒星に五惑星を対応させる考え方は、その後ヨーロッパにも受け継がれているので、同じ頃の東アジアである古代中国で同じような宇宙観があっても不思議ではありません。

そして、この「五芒星」でもっとも大切なのが「金星」となります。なぜなら、古代人は夜空を観測することで金星の軌道が「五芒星」を描くことを知っていたからです。

☆☆☆ 金星と五芒星 ☆☆☆

太陽を中心とした惑星の軌道上で金星は地球より早く巡り1.6年ごとに地球を追い抜かすので、金星は8年間に5回地球と出会います。その出会う場所を順番に線で結んでいくと軌道上に五芒星を描くと言われています。

ですから「金星」を頂点として他の四惑星を当てはめた形で「☆」型が「星」を象徴するようになったようです。

そしてここが大切なのですが、頂点とされる金星は地母神イシュタル、イシス、ヴィーナス、マリアなど古代の女神信仰と深い関わりがあった事です。

なぜなら「五芒星」は人型を意味し、人を産み落とすのは女性であるからです。万物の母を崇める信仰ですね。

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残念ながら、この女神信仰は初期の段階で男性原理主義に置き換えられ「五芒星」は人や自然界の形ある物を支配するシンボルとしてヨーロッパ・アジアで広く使われるようになりました。

☆☆☆ 人体や自然界を支配する「5」☆☆☆

この「5」という数字が、人体や人と関わる現象にとても有効に作用することを古代の人々は知っていました。

なぜなら、人体は常に「5」という奇数に支配されているからです。頭・両手足の五体、五本の手足の指、五感など・・・。

また五芒星は幾何学の世界でも、黄金分割やフィボナッチ螺旋という、人体や自然の形(松毬、オウムガイの殻、渦状星雲など)、つまり自然界の様々なところに内在するスパイラルを導く普遍的図形とも言われています。

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<五芒星系から求められる四角形と黄金分割で自然界に普遍的に現れるフィボナッチ・スパイラルが現れる>

※この辺はとても面白いのですが、難しいので興味のある方はネット等でお調べください。人体とスパイラルに関しては久司先生が詳しいです。


五芒星形を基本とする中国の五行思想も、このような「5」という数字に潜む神秘的な感覚に裏打ちされていたものと考えられます。

それでは次回は、陰陽説の図形的解釈を見て五行説との比較検討してみたいと思います。

<えぇ〜まだ続くの!>

【マクロビオティックに五行説は必要か?シリーズ】
@無双原理と陰陽説
A陰陽五行説とは?
B五行説の歴史と謎 
C古代世界と五惑星観
D陰陽説と五行説の観測点の違い
E古典マクロにおける五行説の必要性
Fまとめ

2006年10月15日

マクロビオティックに五行説は必要か?B

引き続き五行説について見てみたいと思います。

■五行説の歴史と謎

さてこの五行説、どうも判り難い…。まずなぜ「木火土金水」という5つなんだろうということで、五行説の歴史をもう少し詳しく見て行きたいと思います。

「中国まるごと百科辞典」より

@紀元前2070年から始まる夏王朝の聖王、禹(ウ)は洛水からはい上ってきた一ぴきの亀の甲羅に書かれた文様(洛書)から五という数を悟り、国を治めるのに五つの基本原理を思いついた。

A禹が定めた五行というのは、「水は土地を潤おし、穀物を養い、集まって川となって流れ、海に入って鹹(かん:しお)となる。火は上に燃えあがり、焦げて苦くなる。木は曲ったものも真直ぐなものもあり、その実は酸ぱい。金は形を変えて刀や鍬となり、味は辛い。土は種を実らせ、その実は甘い」というもので、禹はこのように、『木火土金水』と五つの『味』、五行五味の調和を政治のプリンシプルとした。

B紀元前800年から始まる斉の時代になって陰陽家鄒衍(すうえん)によって、五つの惑星と結びつけられ、さらにまた万物に当てはめられて、観念的な五行説として完成した。


さて、確実に文献に現れるのはBの頃なので、@Aはあくまで伝説でどこまで信憑性があるかわかりませんがAに見られるように五行の始まりは「木火土金水」という自然現象に「五味」を当てはめたことにあったようです。

木=酸 火=苦 土=甘 金=辛 水=鹹(かん:しお)

率直な話、私はどうも五行の「木火土金水」を純粋なエレメント(要素)としてはどうもピンとこなかったのです。

水、火、土、木(植物)はなんとかエレメントとしてイメージできるのですが、どうも「金」だけはイメージできない。なぜなら、「金」は自然ではなく「形を変えて刀や鍬」とあるように、人間の力が加わらないと成り立ちません。

ですから、五行説の始まりは「農耕文化・鉄器文化」との深い関わりがあったことがAをみてわかります。つまり、4つの自然のエレメントに人の要素を加えた「5」だったとすればやっと五行説を理解できるのです。

もう一つの疑問は、「木=酸 火=苦 土=甘 金=辛 水=鹹(かん:しお)」という五行と五味が自然な感覚として結びつかない。

だって、塩辛いの塩であって水ではないし。甘いのは穀物であって土ではない。まして金が辛いなんて想像も出来ない・・・。

「木火土金水」がそれぞれ人の食べ物を生むことはわかるのだけど、どっちにしろ「金」は「辛い」にはどうも無理がある。

そんなこんなで私の結論としては、「斉の時代になって陰陽家鄒衍(すうえん)によって、五つの惑星と結びつけられた」とありますが、どうも古代の初めから「木星・火星・土星・金星・水星」という五惑星の観念があったのではないかと思うのです。

そして、この五惑星という観念にある種無理やり、諸現象を当てはめようとしている感じがするのです。

次回はそんなところに論点をもって行きたいと思います。

※一見五行説批判みたいになってしまってますが、決してそうではありません。五行説の有効性は後でちゃんと示しますので、東洋医学に従事する方々、気を悪くしたらごめんなさい!

【マクロビオティックに五行説は必要か?シリーズ】
@無双原理と陰陽説
A陰陽五行説とは?
B五行説の歴史と謎 
C古代世界と五惑星観
D陰陽説と五行説の観測点の違い
E古典マクロにおける五行説の必要性
Fまとめ

2006年10月13日

マクロビオティックに五行説は必要か?A

前回は桜沢如一が、どうのような経緯でマクロビオティックの根本理念である「無双原理」を打ち立てたかを検証しました。

では、「陰陽五行説」に焦点を当ててみましょう。

■「陰陽五行説」とは?

陰陽五行説は、中医学や風水、陰陽道など中国の思想体系の中心を成す原理ですが、元々は前出の陰陽説とは別に五行説という別個の理論あり、徐々に結びつき、春秋・戦国時代に統合体系化されたそうです。

陰陽説とは、前回に触れました伏羲に先立つ「易」の二元論です。

五行説とは宇宙は5つの基本元素「木火土金水」で成り立ち、それぞれが相生・相剋するという考え方で、一説には伏羲がいた伝説の時代が終わった紀元前2070頃から始まる夏王朝の聖王禹(ウ)がつくったといわれます。禹の治世のときに洛水からはい上ってきた一ぴきの亀の甲羅に書かれた文様から五という数を悟り、国を治めるのに五つの基本原理を思いついたとう伝説があるそうです。

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ここからが私の疑問なんですが、何で「陰陽という2元論」と「五行という5元論」が結びつくのかということなんです。

陰陽説はとてもシンプルでわかりやすいのですが、これに五行説が結びつくと途端に判り難くなる印象があります。そもそも何で「5」なんだろうという素直な疑問があります。

陰陽説の根本原理は「太極→両儀→四象→八卦」、つまり「0(1)→2→4→8」という世界観です。

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つまり、四象という「4」元素ならとても判り易いのですが、なぜ「+1」の「5」なんだろうと混乱してしますのです。

これは単純に私が「易」を中心に考えているから混乱するのだそうです。なぜなら「陰陽五行」という考え方はむしろ、五行を活かそうとした思想だったようです。(陰陽説との折衷案みたいな・・・)

つまり、万物は「木火土金水」の5元素がらなっているのが前提で、その5元素は天上の見えない根本エネルギーである陰と陽から生成されるというように、「易」の四象八卦はあまり重要視しないみたいなのです。

むしろ易的な「陰陽説」と五行を基本とする「陰陽五行説」は別物の考えた方がよさそうです。

<つづく>

【マクロビオティックに五行説は必要か?シリーズ】
@無双原理と陰陽説
A陰陽五行説とは?
B五行説の歴史と謎 
C古代世界と五惑星観
D陰陽説と五行説の観測点の違い
E古典マクロにおける五行説の必要性
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